14「感謝と元気を、〝書〟に託して」  書道講師・石井友美さん

熊本市内で書道教室を開催、書の作品も創作

上益城郡益城町在住の書道講師・石井友美さん。熊本市東区にある実家や同市の交流センターで書道教室を開くかたわら、店舗・事務所に飾る書の作品や命名書を創作するなど、書道家としても幅広く活動しています。

〝文字を書く〟支援活動

石井さんが住む益城町は、4月に起きた熊本地震で甚大な被害を受けました。幸い石井さんの自宅は被害が少なかったものの、町の光景は一変。多くの建物が倒壊し、大半の住民の方々が避難生活を余儀なくされました。「私の友人や知人にも、大きな被害を受けた方がたくさんいらっしゃいます。地震直後は、とにかく日々生活するのに必死だったのであまり記憶がありません」と石井さんは振り返ります。

そんな中、益城町には全国各地から多くの支援団体がやって来ました。「町内にテントを張り、地震発生直後からずっとボランティア活動を行ってくださっています。その姿に感動し、私も〝文字を書く〟ことで支援ができないかと考えました。周りの友人に尋ねると〝感謝の気持ちを文字にしてほしい〟と。そこで、黒いシートに白いペンキで文字を書き、感謝を伝えるという活動を始めました」

家屋_
全壊した家の前に掲げられた文字

石井さんが書いた文字は、全壊した友人宅に掲示されました。その文字には、「支援への感謝」だけでなく、「家族を守ってくれた家への感謝」も込められています。「地震で倒壊した家は、その直前まで家族が生活していて〝ただいま〟と帰ってきていた家。だから、家族を守ってくれていたことへの感謝も伝えたかったんです」と石井さん。

理容室_2
営業を再開した理容室にも、力強いメッセージが掲げられている

石井さんの活動は口コミで評判となり、理容室、町役場、町中を走るタクシー、全国を走るトラックと、どんどん広がっていきました。しかし、活動を続けるうちに、葛藤が生まれたといいます。

「自宅の被害が少なかった私が、このまま書き続けて良いのか、思いを伝えられているのか、と。そこで、歌詞を書くことを思いつきました。前向きになれる曲の歌詞なら、みんなに元気を与えることができるのではと思ったんです。それから、許可を得て、ゆず、嵐、大黒摩季さんなどの曲の歌詞を書き、それを学校や避難所に掲示させていただくようになりました」と石井さん。

 

協力し合い、支え合える「団結力」

熊本の好きなところは?との質問に、「団結力」と答えてくれた石井さん。「熊本の人は、何かあったらすぐに人が集まってきて、協力し合い、支え合える。私の活動も、たくさんの人の協力があるからこそ続けられています。感謝の気持ちでいっぱいです」。

石井さんの書を飾ると運気が上がるという声も
石井さんの書を飾ると運気が上がるという声も

「今回の地震は、被害の大きさに地域差・個人差があります。私が書いた文字を読んでどう感じるかは、その人の置かれた状況によってさまざま。それだけ〝文字を書く〟という行為には責任があると感じています。今も葛藤する日々です。それでも、この熊本地震の記憶を風化させないため、この活動はずっと続けていきます」。

最後に、読者に伝えたいことを尋ねると「益城町はまだまだ先が見えず、あの日から時が止まっている人がたくさんいます。自分たちの力だけではどうにもならないこともあります。これからも、息の長い支援を、どうぞよろしくお願いします」と話してくれました。

(2016年8月取材/取材・文 溝尻亜由美) ※写真の一部は石井さん提供

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