09「食も景色も温泉も…自然からの贈りもの」 杖立温泉・米屋別荘

阿蘇郡小国町の山あいにある杖立(つえたて)温泉。かつて「九州の奥座敷」としてにぎわいを見せた温泉地は、最近では春の「杖立 鯉のぼり祭り」で知られています。平安時代、この地を訪れた弘法大師空海が、竹の杖を立てたところ節々から枝や葉が生えてきたとも、杖をついて湯治にきた人々が杖を忘れて帰ったともいわれる、歴史ある温泉です。杖立温泉観光協会理事で「米屋別荘」館主の河津順也さんに聞きました。

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名物「蒸し湯」に「背戸屋」散策

ゆけむり杖立温泉は高温の源泉が自然に湧き出しているのが特徴。約98度の豊富な湯を活かし、蒸気を体に浴びる天然のサウナ「蒸し風呂」を備えた宿も多くあります。温泉の蒸気は調理にも利用され、共同の「むし場」が設けられています。

「蒸し湯は肌だけでなく髪にもよいといわれています。蒸気で調理すると焦げつかず、じっくり火を入れることができるので、煮込み料理に向いています」と河津さん。狭い路地が連なる町並みは「背戸屋(せどや)」と呼ばれ、どこか昔懐かしい風景が広がります。

温泉と旬の味覚を満喫

川沿いに建つ「米屋別荘」は天保14年(1843年)に創業。七代目館主の河津さんは京都で修業し、自ら包丁を握ります。春の山菜、夏の鮎、時には天然ウナギが出ることも。秋は原木椎茸や野栗、天然のしめじ、冬はイノシシやシカなどの「ジビエ」と、山の幸を中心に月替わりの料理が味わえます。「その土地の風を感じて、ここでしか味わえないものを楽しんでもらいたいです」と河津さん。温泉の蒸気でじっくりと火を通す蒸し料理も楽しみです。

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米屋別荘 客室の一例
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月替わりの料理

 

 

 

 

 

今回の地震では建物に大きな被害はなかったものの、水道が止まり、余震や梅雨の影響も考慮し、宿泊受け入れを中止。5月からランチ営業を行い、7月に宿を再開しました。「日本料理にとって水は基本となるものです。改めて水の大切さを実感しました」と河津さんは話します。

「地震後、お客さまや多くの方から励ましの言葉をいただきました。170年以上の宿の歴史の中では、いろいろなことがあったと思いますが、今回のことも長い歴史の中の一つだと思います。自然と隣り合わせの地域なので、安心安全を第一に、お客さまと変わらず密接な関係を続けることができれば、何事にも動じない『強い宿』になれると思います」

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「米屋別荘」館主の河津さん

「夏の阿蘇は、青々とした草原が広がり、一年の中で一番好きな季節です」と河津さん。「ところどころ傷んだ部分もありますが、復興する姿も見てもらいながら、美しい風景を楽しんでいただきたいと思います」。熊本の好きなところは「大自然。食べ物も景色も温泉も、すべて自然からの贈り物。自然の恵みです」と話してくれました。

◆「杖立プリン」やイベントに注目

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米屋別荘の「杖立プリン」

杖立温泉では、朝市や足湯カフェなど、毎月さまざまなイベントを企画しています。新たな名物となっているのが温泉の蒸気を使って作る「杖立プリン」。茶碗蒸しに砂糖を加えたような「甘玉子」という地元料理があり、甘玉子のようなおもてなし料理を、と始まったプロジェクト。店や宿ごとに趣向を凝らした味が楽しめます。

杖立温泉や宿の情報はホームページで確認を。地震の影響で通行できない道路もあるため、最新の情報をご確認ください。

杖立温泉観光協会 http://tsuetate-onsen.com/

米屋別荘 http://www.komeyabessou.jp/

(2016年6月取材/取材・文 ゆうプランニング野口) ※写真は米屋別荘提供

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