20「幅広いジャンルの映画を届けたい」Denkikan

熊本市の中心部、サンロード新市街にある「Denkikan(電気館)」は、創業100年を超える映画館です。熊本で初めての常設映画館として、現在のシャワー通りに開業。その後、今の場所に移転し、長年親しまれてきました。代表の窪寺洋一さんに聞きました。

「面白い」と思える作品を上映

かつて新市街周辺には複数の映画館がありましたが、シネコンが主流となる中、閉館が相次ぎ、今では電気館だけになりました。

「邦画・洋画ともに、幅広いジャンルのものを上映しています。見て面白いと思えるものが基本で、脚本や監督も考慮し選んでいます。ヒューマニティーなものが多いですが、ドキュメンタリーも増えていますね」と窪寺さん。電気館では、シネコンで上映されないような作品を多く見ることができます。

「熊本で上映される作品は東京の1/3程度ではないでしょうか。世界各国によい作品がたくさんあるので、いろいろな映画を上映できればと思っています」

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映画「うつくしいひと」をチャリティー上映

4月の地震後、熊本では多くの映画館が休業を余儀なくされました。電気館も約3週間休業し、足場を組んで点検を行い、映写機など機材の調整や内装の補修を行いました。休業中も「上映していますか」と問い合わせの電話があり、再開を待ち望む声が寄せられたといいます。

「余震が続いていたので悩むところではありましたが、5月7日に、まずは2階から営業を再開しました。街中の店も閉まっているところが多く、映画にたどり着くまでには時間がかかるだろうと思っていましたが、営業再開後、たくさんの方に来ていただきました。お客さまに喜んでもらえたのがうれしかったです」

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5月21日からは、映画「うつくしいひと」を上映。熊本出身の映画監督・行定 勲さんはじめ熊本にゆかりのある俳優や地域活性化に取り組む人たちが製作した映画で、入場料の一部を寄附しました。初日には、行定監督や熊本出身の俳優・高良健吾さんのトークショーも行われました。連日満席になるほどの人気で、上映回数を増やして対応。上映期間も当初1週間の予定が8週間に延びました。

「被災前の熊本城などでも撮影されていて、エンドクレジットが上がるまで出てこられない方が多かったです。お客さまからは、よかった、ありがとう、という言葉をいただきました」

チャリティー上映は全国各地で行われました。「行定監督と話して、コミュニティーシネマ事務局に相談をし、全国で上映が実現しました。行定監督ができるだけ各地を回り、私も九州各県での上映には同行しました。いろいろなところで募金をしていただき、上映が続いています」

「うつくしいひと」は続編の制作が決定し、震災後の熊本で撮影が行われました。来春の公開予定です。

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県内各地で上映会を開催

7月23日からスタートしたのが、人気マンガ「ワンピース」の映画『ONE PIECE FILM GOLD』。原作者の尾田栄一郎さんは熊本出身ですが、当時営業していたシネコンは宇城だけで、映画を見たくても見ることのできない人が多い状況でした。電気館でアニメが上映されるのは久しぶりのことです。

「熊本出身の尾田さんの熊本への応援があり、熊本出身のコロッケさんが声優として参加していたり、歌舞伎版ワンピースの上映も行ったりと、いろいろなつながりがある作品でした。夏休みでもあり、家族連れが多かったですね」と窪寺さんは振り返ります。

初日には声優さんやコロッケさんが駆けつけ、館内に原作者の尾田さんのサイン入りポスターも掲示されました。上映期間終了後も、子どもたちを招待した上映会が開催されたそうです。

電気館が加盟する熊本県工業生活衛生同業組合では、毎年熊本県内で映画の上映会を開催してきました。熊本地震後は、ボランティア団体や県外の団体とも連携し、地震の被害が大きかった益城町や西原村をはじめ、県内各地での上映会に取り組んでいます。「うつくしいひと」や「ワンピース」のほか、「男はつらいよ」「アンパンマン」なども上映し、好評だったそうです。今後も他の団体とも協力しながら、活動を続けていく予定です。

映画館で見る楽しみを知ってほしい

全国的に映画館を取り巻く状況は、年々厳しさを増しています。そんな中で、「今やっているものを続けていくことが一番だと思っています」と窪寺さんは話します。トークショーやイベントなども、徐々に増やしていきたいと考えています。

「若い人たちにもいろいろなジャンルの映画を見てもらえればうれしいです。世界各国の映画を見ることで、国の情勢が分かり、勉強になることもあります。幅広い作品を見ると、好きになってもらえるのではないでしょうか。人と一緒に見ることで共有するもの、共感できることもあると思うので、映画館で見る楽しみを知ってもらいたいですね

最後に熊本の好きなところについて聞くと、「人のつながり」を挙げた窪寺さん。

「熊本は人のつながりで成り立っているところがあると思います。商店街でも一体となって、さまざまな面で協力しています。人のつながりで、どうにかなることも多いと思います」と話してくれました。

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中央が代表の窪寺さん

◆映画の楽しみが広がる空間

電気館にはカフェが併設されており、上映前に注文すると、劇場内まで届けてもらえます。チョコレートがついてくるのもうれしいところ。香り高いコーヒーとともに、贅沢な時間を楽しめます。

月曜日はメンズデイ、水曜日はレディースデイ、金曜日はペアデイ、毎月1日はファーストデイとして、特別料金を設定。お得な回数割引チケットもあります。

トークショーや上映作品にちなんだイベントが開催されることもあるので、ブログやフェイスブックをチェックしてください。

Denkikan(電気館) http://www.denkikan.com/

(2016年11月取材/文・写真 ゆうプランニング野口)

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