16「上質な普段着で、日常を少しだけ豊かに」 PEOPLE

大きな楠が並ぶ「オークス通り」を抜けると現れる、白い壁が印象的な「PEOPLE」。「上質な普段着」をコンセプトに掲げたセレクトショップです。

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着るほどにその人らしさが現れる服

「結婚式に着ていくドレスやスーツにはお金をかけ、普段着は適当なものでいいという人が多いかもしれませんが、1年の中では日常の時間の方が圧倒的に長いですよね。普段着によいものを着た方が日々は豊かになる、という思いで始めたショップです」とオーナーの藤川啓(ひらく)さんは話します。

家庭でも手入れができて扱いやすく、着用を繰り返すうちに風合いがよくなるものを選ぶと、綿や麻など天然素材のものが多くなりました。「ポケットにスマートフォンの跡がついたり、服に生活のくせが出てくるのが人間らしくていいなと思うんです。洋服は第一印象を決める大きな要素の一つですが、天然素材の方がその人らしさが出やすいと思います」

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商品は、できるだけ作り手と会って話を聞いてから仕入れるようにしているため、国内メーカーのものが多く並びます。「お客さまから作り手へ、作り手からお客さまへ、僕たちが間に立って、話を聞いて伝えることができる。人と人とのコミュニケーション、人とのつながり、という意味を込めて、店名を『PEOPLE(ピープル=人々)』としました」

「リラックスして着ることができて、でも、だらしなくならない」「きちんとデザインが入っていてきれいに見える」という服に、多くのファンが付いています。

期間限定で東京に出店

4月の熊本地震では、当時の店舗が大きな被害を受け、姉妹店Re;li [リ ; リ] の前の道路も通れない状態となり、2店とも休業を余儀なくされました。「洋服は生活にもたらす力が大きいと思ってやってきましたが、本震の後には、洋服屋としてできることはないのでは、と思いました。そんな時、東京の友人が『今は大変だけれど、落ち着いたらきっと洋服が必要とされる』と言って、東京に期間限定で出店する機会を作ってくれました。僕たちがやっていることを届けられる人に届けようと思い、オンラインショップも再開しました」

オンラインショップ再開後、売り上げの一部を熊本地震の義援金として寄付しました。東京では美容室「Praha」のギャラリースペースを借りて、5月5日から1週間限定で出店。オンラインショップを利用していた人が訪れるなど、うれしいできごともありました。「関東では東日本大震災の経験から、多くの方が熊本のことを気にかけてくださいました。来ていただいた方からパワーをもらい、熊本はきっと元気になっていくので、その時のためにしっかりやろう、という気持ちになりました」

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5月からは上通の「蒲池眼鏡舗」の一角を借りて営業を始めました。「地震後、お客さまからキープしていた服は大丈夫ですか、洋服を見に行けますか、とお電話が入りました。熊本の人は洋服好きだといわれるものの実感がなかったのですが、洋服の生活に占める優先順位が高いのだと改めて感じました。自宅が半壊したお客さまを心配してお電話した時に、『(PEOPLEの)服は全部救出できた』と言ってくださったのはうれしかったですね」

地震後ストレスがたまる中で、服に元気をもらえるという人も多かったようです。営業再開した姉妹店Re;liの隣での仮営業を経て、8月27日に元の店舗からも近い場所に移転オープンしました。新しい店舗は夏の暑い時期に汗だくになりながら、スタッフ自らプロの職人に交じってペンキを塗り、常連客の人にも手伝ってもらったという、思い入れの強い空間となりました。

心を満たす〝衣食住〟

「ファッションには流行という意味がありますが、自分の中ではしっくりこないところがあり、服は衣食住の『衣』、生活必需品であるとともに、生活の楽しみの大きな一つでもあると考えています。暑さや寒さをしのげても、心が満たされない服もあるかもしれません。食べることも同じです。少しだけ上質なものを選ぶことで、日常が豊かになります。自分自身が食べることや音楽が好きなので、同じような思いの人たちと一緒にイベントなどもできればと考えています」

熊本の好きなところを尋ねると、「人と人との距離の近さ。いい意味でも悪い意味でも」と笑う藤川さん。「人とのつながりのありがたさを改めて感じました。地震はもちろん起きないほうがよかったのですが、これをきっかけに、気づかされたこともたくさんありました」と話してくれました。

左から、オーナーの藤川啓さん、スタッフの時松望さん、藤川春香さん
左から、オーナーの藤川啓さん、スタッフの時松望さん、藤川春香さん

◆熊本で、東京で、ワクワクするようなイベントを企画

6月に渋谷ヒカリエで開催された『OK SHOP 大分熊本物産展 + Made in TOKYO』に出店。7月には、5月の東京出店に協力してくれた東京のビストロ「EUREKA(ユリイカ)」のシェフが熊本を訪れ、PEOPLEとRe;liで、1日限定でユリイカの味を楽しめるイベントが実現しました。

そして9月21日~23日には、東京の下北沢にある「EUREKA」で、「Re;li」とのコラボイベント「Re」を開催。昨年から準備を進めてきた企画で、ユリイカの店内にRe;liの洋服が並び、熊本の食材を使った料理を楽しめました。

今後も熊本で、東京で、イベントを企画していく予定です。最新情報はホームページやブログをチェックしてください。オンラインショップでは、PEOPLEセレクトの洋服や靴、アクセサリーなどを購入できます。

PEOPLE http://www.people-boutique.com/

Re;li http://www.reli-shop.com/

(2016年9月取材/文・写真:ゆうプランニング 野口)

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